Zeiss Super−Wide30mm 最小眼幅に到達


F8鏡で射出瞳径4mm、ディープスカイ超広角観望用として常用しているZeiss Super−Wide30mm、双眼で使用するには無謀とも言える眼幅73mmを昨年松本龍郎さんの見事な加工により6mm短縮、その後拙作の手作業でさらに3mm、現在64mmとして使用中でした。
しかし先日知人が遊びに来た折これでも厳しい人がおり、もう一押しなんとかしたいと今回の改造に踏み切りました。このアイピースは昨年購入した際に分解して外筒とレンズユニット(アイピース本体)との構造は判っていたため、再度分解しEMSバレル・レンズユニット・視野環のサイズと位置関係を確認したところ殆ど手を加えることなく相互を接合出来ることがわかり、思いの外簡単に改造を行うことが出来ました。

最終的な眼幅はアイピース対物側固定環の直径61mmに等しく、左右EMSを2°程内側に傾けて使用している現状では59mmが可能です。これはEMSの2インチスリーブの直径に等しく、これが事実上の限界点ともなり、双眼として使用することは一見困難な巨大アイピースが辿りついたゴールとなりました。
販売元によると本来 軍事用として製造されたもののようですが、ツァイスの技術者もまさかこんな使い方をする者がいるとは夢にも思わなかったことでしょうね・・・・ 


ツノ型見口を付けた状態、光の加減でややヘビメタ風、または22世紀から来た未来のアイピース風、 銀色の艶と黒いリングの位置関係とコントラストが思いの外美しい。写真ではそのグラデーションが出ないのが残念


販売されているSW30のオリジナル状態
アイピース本体と2インチバレルは巨大なフランジで接合されている
アイピース単体でのピント合わせも可能なヘリコイドリング


松本工房でフランジを旋盤でカットしてEMS用2インチバレルを付けて頂いた改造前の状態。、トップリングはピントヘリコイド操作用兼ツノ型見口取り付け用
内部のレンズユニット(アイピース本体)を取り出した状態。レンズユニット上部のストッパリングを外して対物側へ廻すとそのまま外筒と分離できる簡単な構造。 対物側固定環の直径は61φ(最大径) 中間の螺旋模様はヘリコイド雄ネジ、グリスはふき取り、脱脂処理
対物側固定環にEMSバレル接続用のM2タップを施す。アイピース鏡筒に達しないよう深度は3mm。寸分違わず、かつやり直しの利かない作業はケガキも細心の注意を払う。この固定環はカニメでは外れない程堅固に固定されており強度にも問題は無いと判断した
EMSバレルの外周から1.5mmのところにキリ2.2φ×6箇所。右側の視野環はバレル下部にセットするためテーパー状に切削した。バレルのフランジをネジ止めする際に視野環がレンズ固定環を圧迫するのを避けるため(結像への影響回避)、僅かに多めに削り、微小ながら視野環は中空に浮いた状態で三方からアルミ箔で固定して心出しする方式とした。視野環周囲の既存ネジ山がストッパの役目を果たし、こんな簡単な方法でもしっかりと固定される
バレル取り付け後。バレル底部に視野環がセットされている。このアイピースの焦点面はもう少し前進した位置にあり、アイピースとバレルフランジ間にスペーサを噛ませるのが理想だが、視野最周辺像にあまりこだわらない私にはこれで十分だ
アイピース最大径が61φ、EMSバレルが60φ、偶然とは思えぬほど視野環の納まりも含めてベストマッチ
トップリング、左右対向面を切削
最小眼幅61mm、左右EMSを内側に2°程傾けて使用している現状では59mm達成


2003.09