Zeiss Super−Wide30mm
その3 ヘリコイド用リングを追加 (完結)
眼幅が64mmに短縮出来た「マグロの目玉」 こと ツァイスSW30、トップカバーを外したヘリコイド部に回転用取っ手リングを付けてみました。 ヘリコイドの可変移動量は約7mm、ピント合わせには十分な量がありますが、当初このリングはトップカバー代わりのお化粧用として付けたものでした。 しかし実際に使ってみると想像していた以上に使い勝手が良く、鏡筒側のラックandピニオン機構のアシスト(ピント微動調整)として十分すぎるほどの役割を担ってくれています。 機構的には左右単独繰り出し式の双眼鏡と同等ですが、ヘリコイドの直径が大きいため、ピントを追い込む微妙な感覚は双眼鏡のそれよりもかなり優れています。 松本龍郎さんが加工の際、アイピースが供えていた良い機構をそのまま残して余分なフランジのみを切削して下さったお陰です。 7月中旬の夜半過ぎ、東の空に昇り始めたペルセウス座二重星団に双眼を向けゆっくりとリングを回す・・ 「スウッ・・・」と深く静かに合焦した向こうには一足先に秋の星々が広大な視界いっぱいに広がっていました。 決して廉価ではないこのアイピース、しかも人様の手をお借りして加工やフィールドテストまでしていただいたこと、 思い返してみると随分と手間が掛かっていますが、それ以上の真価があるものと確信し、deepsky観望に十分役立てたいと考えております。 |
その2 眼幅短縮バージョンが完成 (双眼使用へのハードルをクリア)
眼幅73→ 一気に6mm短縮
Zeiss Super-Wide30mmの双眼での使用は一応成功したものの、本体直径71mm、下部フランジ73×91mmというサイズでは眼幅が70mm以上のごく限られた人以外観望は困難で、これでは「双眼で使える」と言うにはほど遠く、せめてあと数ミリ左右の間隔を狭められれば・・そう思い、悩んだ挙げ句、意を決して1個を分解してみるとにしました。 ツァイスの製品を分解するなど罰当たりの極致、しかしここまで来たら「毒を食らわば皿まで」です。 すると以外にも、と言うか外観からつぶさに観察したとおり構造は明快で、しかもフランジの切削加工などをすれば、眼幅短縮が可能であることが判ってきました。 とは言ってもあの大きなフランジを手で削っていては悟りの境地に達するまで終わりそうもないし、まして綺麗に仕上げるのは不可能。 どうしたものかとあれこれ考え、松本龍郎さんに相談したところ、何と快く加工を引き受けて下さいました。 出来上がった状態は写真の通りで、分厚いフランジが寸分違わずスリーブ外径まで切削され、かつツァイスが元々この状態で販売していたと言っても十分通用するほどの美しい仕上がり、しかも2つのアイピースの加工を始めてからが完了するまでの時間が信じられない程早いこと、 まさに達人の技です。 加工方法の概要は ●上部ピントヘリコイド用取手(リング)の取り外し(3本のストッパネジを緩める) ●2インチバレル側のフランジの取り外し(4本の固定ネジを緩める) ●アイピース下部フランジを切断切削加工 ●視野環固定用リングにEMSフィルタユニットを2インチバレルとして取付 ちなみにフランジは矩形で大きい上に重心が取れていないため、加工はかなり難しい作業だったそうです。 2インチバレルとしてEMSフィルタユニットを使用しているのは、松本さんならではで、不必要なバレル長を無くすことにより内面反射が抑えられ、かつ対物側レンズへ十分な開口を提供する効果があります。もちろん48φフィルタの取りつけも可能。バレル長は短くてもテーパー状に加工されているので、望遠鏡接眼部からの脱落の心配は皆無で使用感も申し分ありません。 また視野環固定リングの取り外し取り付けはカニメを使う必要があったのですが、EMSフィルタユニットが取りつけられたことで、工具が不要となりレンズのメインテナンス性も向上しています。 さらに2インチバレル側のフランジが取り去られたことで、所要バックフォーカスが8mmも短縮されたことも大きな効用で、EMSや天頂プリズムなどの比較的バックフォーカス消費量の多い光路を使う場合に大変有効です。 この改造により、眼幅は73mmから67mmに短縮され、これだけでもかなりの成人が観望可能となり、また完成後のフィールドテストにて左右EMSユニットを少し内側に傾けることにより64mm付近の眼幅の人なら観望可能であることも確認されました。(ちなみに左右EMSを傾けた状態の微量の像の倒れもユーザ自身が正確に補正出来るのがEMSの優れた特徴です) 改造前後の眼幅差は6mmですが、この間には人間の眼幅の限界とも言うべき壁が存在し、それが取り去られたと言っても過言ではないと思います。 このアイピースは大きな瞳レンズの形状から「マグロの目玉」と命名することにしました。 マグロさらに眼幅短縮
快適に使えるようになったマグロで朝の田園風景をゆっくりと観望している最中、ふっと思いつき、各部の寸法を再計測してみると一番太い視野環固定リング外筒部(67.3mm)をアイピースの最も細い部分(63.5mm)まで切削してもまだ0.7mm余裕があることが判り、これはやってみるしかない! と早速作業に取りかかりました。 手持ちにある粗末な工具での加工なので切削面はお世辞にも奇麗ではありませんが、何とか終了。 切削が約3時間、前段の分解切り子養生、後かたづけ(アルミ粉があちこちに舞って掃除がえらかった^^;)などなど1日がかりの作業となってしまいました^^ また分解ついでにヘリコイドの油量を少し減らして滑らかな動作となるよう調整もしました。 写真を見ていただくと判ると思いますが、最下部視野環固定リング外筒の一部も削り落としてあり、固定リング用メスネジの一部が欠損しております。しかしその比率は全周の10%と小さく、またメスネジ部以外のアイピース筐体の剛性が極めて大きいため強度的な問題は無さそうです。 最終的な眼幅は64mm弱(計測では63.75mm)、これなら非常に多くの人の眼幅以下に収まっていると考えられます。 当初73mmもあった眼幅は、松本さんの見事な技によりあっさりと6mm短縮され、その後拙作の粗末な出来映えではあるもののさらに3mm短縮、 双眼として使うなど無謀とも言える特大アイピースがたどり着いた夢のゴールです。 私のとんでもない思いつきからはじまったこのアイピースのEMSbinoへの装着計画、 暖かくサポートして下さった松本龍郎さん、そして快くフィールドテストをして下さったYさん、Tさんに心より感謝申し上げます。 |
その1 このアイピースを何とか双眼に・・・
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EMS双眼望遠鏡 SCHWARZ120mmF8.3(f1000)にて「星の大海原」を実感出来るアイピース、即ち
●倍率30倍、射出瞳径4φ程度 →焦点距離約30mm ●見掛視界は80度超 ●周辺像の収差は出来る限り少なく ●アイレリーフが十分長く、のぞき込まなくても最周辺まで無理なく見える ●淡い天体の検出も容易に出来るコントラスト、抜けの良さ ●もちろん双眼で使えるサイズ という条件にかなうものを探していましたが、なかなか見つかりませんでした。 一番の障害はアイピースのサイズ、周辺まで余裕のある視界を見せてくれるものはあっても眼幅を越えていては双眼での使用は不可能です。そうこうしている内に、笠井トレーデングのカタログでこのアイピースを見つけ電話でサイズを確認すると、眼幅70mmの私なら何とか使えそうであることが判り、早速1個購入してみました。 実物を見もしないで買うのは無謀ですが、製造元はツァイス、抜けの良さとシャープネスは双眼鏡で既に判っていましたので、性能そのものの不安は殆どありませんでした。 このアイピースは元々軍需用の部品?だったらしく、下部フランジを介して2インチスリーブを結合している独特の構造となっています。剛健にして大胆なデザインです。 直径は71mm、フランジ部73×91mm、質量約700g、堂々たる筐体です。到着したのは夕方、早速外の風景と夕食後やや薄曇りの星空を観望しました。 ありきたりの言葉ですが「さすがツァイス!」です。 視界は明るく澄んでおり、極めてシャープ、周辺像も乱れは僅かで像面湾曲が小さく、何よりも低照度下での色識別能力が抜群、のぞき込まなくても最周辺まで楽に見える・・ ただただ驚くばかりでした。 翌朝、靄に煙る地上の風景を見てまた驚嘆、木々の葉や小鳥の羽の鮮やかなこと! 靄の中でこれほどまでに見えるとは・・ ツァイスの見え味そのものでした。 EMSユニットとアイピース本体でかなりの質量(1Kg近く)になるため接眼部への負担が心配でしたが、所要バックフォーカスが大きく、無限遠方点でのドローチューブ引き出し量がわずか5〜10mmだったことが幸いして、接眼部へのモーメントが最小限に抑えられているため、安定して合焦操作が可能です。もちろん近距離での合焦で、チューブを引き出しても特段問題は無さそうです。 |
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EMSbinoに装着
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EMSユニットを左右僅かに傾けている
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ET?
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「これを双眼にしないで何とする! EMSユニットを傾ければ眼幅に合わせられる!」
半ば飽和状態の頭で2個目を注文、翌日到着 そのままの状態ではアイピース間隔はフランジの短辺方向73mm以下にすることは出来ません。 そこで鏡筒の間隔を少し広げ、左右EMSユニットを内側に僅かに傾けてみると、2個のアイピースの接眼側が接するようになり、私の眼幅70mmに合わせることが出来ました。しかしEMSを傾けたことによる(相対で約1.2度)左右像の倒れが発生しているはずで、この点について覚悟はしていました。愚かな行為だということは百も承知、それを押しのけてでも双眼で使って見たいと思わせるほどの見え味だったのです。 折しも当日の夜は晴れていて、早速ファーストライト。 単眼でも凄いものでしたが、双眼では・・・ もう見事という他はありません! 抜けが良く心地よい視界、射出瞳径4φ弱の超広角としては非常に明るく(白んでいるという意味ではない)、これほどまでに広大で、これほどまでに色とりどりの星々、最周辺の星像はピンポイントでは無いけれど全く文句無し、不快な像面湾曲もきちんと抑えられている、周辺減光も殆ど感じない・・天頂付近でゆっくり鏡筒を振るとまさに「星の大海原」。 M13,M51,M17,M27などの春から夏の星雲星団が極めて上質で広大な視界にくっきりと浮かぶ姿は崇高なるものの存在を感じる程でした。ちなみにEMSを傾けたことによる像の倒れは視野最周辺でも特に認められませんでした。 ということで、ファーストライトは無事終了。 眼幅についてはアイピースのピントヘリコイド部とフランジ部に何らかの切削加工を施せばもう少し狭められる可能性も無くはないと思いますが、ツァイスのアイピースを分解して削る・・などという度胸は私にはありませんので、眼幅70mm以上の人(左右視界が僅かに眼鏡状になることを我慢すれば68mm以上)の特異アイピースとして暫くは使うつもりです。 このアイピースを双眼で使おうなどと考えるのは私だけかもしれませんね。 先駆者か愚か者か・・・ 多分後者でしょう^^ けど双眼での見え味はとても言葉では言い尽くせない程素晴らしいものです |