優れた道具の紹介 天体観測用赤道儀  五藤光学 Mark−X

GOTO Mark−X


五藤光学のマークX、1985年にベースモデルを購入し、その翌年他のパーツを、その後水平摺動架台部を、そして1992年の某星まつりにて鉄工所を経営されている方が自作して展示していた三脚を安価で譲って下さり、現在に至っています。この赤道儀の特徴は何と言っても美しい形と塗装色、加えて機能面では滑らかな動作、主要構成部を簡単に分解できる利便性、時角計算が不要な星座パターンとポーラスターの導入による非常に簡単な極軸設定など、現行の機種と比べても十分に比肩できる機能を備えています。追尾精度は焦点距離300mmで2分程度まで可能で、広角から中望遠までのお手軽星野撮影には十分な精度を有しております。水平摺動部と三脚架台はそれぞれ名工の手造りで、精度強度とも申し分なく、強風の中でもなんら不安はありません。組み立て撤収時のし易さも考慮されております。
現在この赤道儀は製造中止となり、メーカの補修部品在庫も殆ど底をついたと聞きました。残念なことです。極軸設定用の小型ファインダにある歳差補正用のスケールパターンは1980年から2050年まであります。私が購入したときから既に21年が経過しておりますが、歳差目盛ではごく僅かの距離です。人にとって長い時間も歳差(地球の首振り運動)からみたらつい先日のことなのです。2050年まで私が生きる可能性はかなり小さいと思いますが、修理不能な故障を起こさない限りずっと使ってあげたい、ハレーもオースチンもしし座流星雨もこの赤道儀が傍に居てくれました。

自信を持って言える「良い道具」です。昨今このような秀逸な製品が市場から消えてきている気がします。今だ多くの天文人に愛されており、ネット販売で時々中古品が出ているのを見かけますが、すぐに売れてしまうようで、なるほどと思います。