星の写真を撮るのが好きな私ですが、惑星の撮影からはずっと遠ざかっていました。 かつて新潟に住んでいた時に亀田町の田んぼで撮影した木星が最初で、その後銀塩カメラ、ディジタルカメラで何回か撮影しましたが、一晩掛って撮影しても大気の揺らぎに阻まれて良い像が得られることが少なく、折角の休暇も疲れて終わるだけ、というのが敬遠してきた大きな理由でした。 しかしここ数年、動画を撮影して良像のコマを多数重ねることにより驚異的な惑星像をアマチュアが撮影できるようになり、遅ればせながら挑戦してみようと思っています。手始めにカメラの準備です。 出来るだけ安く、そして工作と撮影の両方を楽しむために、市販のwebカメラを改造して使用することにしました。 カメラは使用実績が結構あり、改造例も複数ネット上で公開されているLogicoolの Qcam S7500を選びました。 2012.02.05 |
S7500は発売から年数が経過し、殆ど市場で見かけませんがまだ時々出回っています。 この個体は大手ネット販売サイトで購入したものです。 改造の方法は、 @ レンズを取り去る(望遠鏡を使うのでレンズは要らない) A カメラ動作表示のLEDを消すまたは撤去する(迷光が光路に入り込み撮像に影響が出る) B 望遠鏡への接続用に31.7mmスリーブを取りつける |
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「えっ!、改造? やだな...怖いな、壊さないでよね...」 このカメラどことなくユーモラスで何か話しかけて来そうな雰囲気です この瞼のようなドームシャッタがレンズを取り去った後の防塵カバーとして役立ってくれます。 |
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まず最初に側面にあるレリーズボタンをはずし、その内側にあるネジを緩めます。すると外殻が2つに分離し、カメラ基板ユニットとピント機構が露出します。慣れていればここまで約2分で完了です。 | |
カメラ基板ユニットと手動ピントリング。大きなギヤリングがレンズ周囲のギヤを回して合焦させる構造。 赤黒のリード線はマイク用。 惑星の撮影ではマイクは不要だけれど、マイクのON,OFFは専用ソフト上で可能であるので、マイク線の切断は行いません。 | |
カメラからレンズを外す。 ネジ構造なので回せば簡単に外れます。 撮像面を汚さないように注意。 | |
カメラ動作中に点灯するLED。非常に明るいため、乱反射した光がレンズを取り去った撮像面に迷光となって侵入する可能性が大なので処理が必要です。 LEDを撤去してしまうのが一番よいと思いますが、今回は黒いペイントで塗りつぶしただけで済ませました。これでも十分と思います。 | |
再び組み立てます。 組み立てる時の注意点は @カメラ基板ユニットを専用の切り欠きに合わせて正確に収める Aドームシャッタの開閉がスムーズに出来ることを確認する さして難しいところはありません。レンズを外してあるのでピント機構とドームシャッタを先に取り付けておいてからカメラ基板ユニットを最後に差し込むことも可能です。 |
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組み立て完了。 望遠鏡との接続用に 31.7mmスリーブを取りつけます。31.7-25.4mmアイピース変換用アダプタを流用、 2成分混合型エポキシ(5分硬化型)で接着しました。スリーブの中心点と撮像面の中心点合わせは目見当ですが、撮像面のスケアリングもさほど正確ではないので望遠鏡に接続する際の光軸方向微調整をすることを前提に、この程度で問題はないと思います。 スリーブの接合面はやすりで面荒らしをして接着し易くしています。 接着剤の使用は必要最小限に、がコツです。あまり付け過ぎると 外殻にまで接着剤が浸透して、2度と分解整備の出来ないカメラとなってしまいます(汗) |
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完成 まるで惑星撮影用の改造がなされることを意識して製造されたのではないかと思うほど簡単にできました。 |
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テスト撮影。 真冬で一面の銀世界、あまりにコントラスト差が大きすぎる被写体ばかりなので、比較的おとなしくて解像力の判断もし易い電柱の碍子を被写体にしました。 望遠鏡は1984年に購入したビクセンのFL-55S、古いですがいまでも現役、テスト撮影の標準機としています。 |
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ファーストライトにしては上出来の画像。 画角は7mmアイピースと同程度、撮像素子が小さいのでやはりかなり狭いです。 実際の惑星撮影ではフリップミラーによる撮影と眼視での確認の同時進行が必須になりそうです。 (この画像は、カメラで撮影した動画(MWVフォーマット)をAVI変換し、そこから適当に選んだ20枚ほどのフレームをRegiStax6にて重ね合わせて軽くシャープフィルタを掛けてあります) ただ周辺部に着色があるのが少し気になります。惑星の撮影ではあまり影響はないのかもしれませんが。 これだけの性能ならば大気が落ち着いた日ならかなりよい惑星像が得られそうです。1個数千円のwebカメラですが価格以上の性能です。今年の惑星シーズンが楽しみです。 |